【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第118条【有償契約・双務契約に関する規定の適用】

賃貸借契約ハ有償且双務ノ契約ノ一般ノ規則ニ従フ但後ニ掲ケタル変例ヲ妨ケス*1

 

【現行民法典対応規定】

なし

 

亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之二』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

 有償契約とは、各当事者が出捐して相互に利益を得るもの、第三者にこれを得させるものをいい(第298条)、双務契約とは当事者が相互に義務を負担するものをいいます(第297条)。賃貸借契約は、賃貸人よりその物を出捐し、賃借人からはその賃料を出捐するという有償契約です。また、後の2款に規定するように、賃貸人・賃借人相互に義務を有するという点から見れば、この契約は双務契約です。このような有償・双務の契約なので、有償契約・双務契約の一般の規則に従うべきことは当然です。ただし、法律で特に異なる例を設けたものについては、これを設ける理由があるからなので、それに従わなければならないのも当然です。

*1:賃貸借契約は、有償かつ双務契約の一般の規則に従う。ただし、後に定める場合については、この限りでない。