【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第161条【取り除かれた建物・樹木の所有権】

前二条ニ従ヒ永借人カ建物又ハ樹木ヲ取除キタルトキハ其物料及ヒ材木ハ所有者ニ属ス*1

 

【現行民法典対応規定】

なし

 

亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之二』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

88 前2条の規定により、永借人はその権利に基づき、または所有者の承諾を得て、樹木を掘り取ったり、建物を取り除いたりすることができます。しかし、その掘り取った樹木や取り除いた建物はもともと所有者に帰属するものなので、永借人にはこれを自分の所有とする権利がないことは当然です。つまり、民法は、永借人が永借物を使用・収益するのに妨害となるものを除去することを認めただけで、その妨害となる物の所有権を動かすわけではないのです。

*1:前2条の規定により永借人が建物又は樹木を取り除いたときは、その物料及び材木は所有者に帰属する。