【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第152条【解約申入れ・返却の時期について慣習がある場合】

解約申入及ヒ返却ノ時期ニ関スル前数条ノ規定ハ其時期ニ付キ地方ノ慣習ナキトキニ非サレハ之ヲ適用セス*1

 

【現行民法典対応規定】

なし

 

亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之二』(明治23年)

 

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

75 解約申入れと賃借物返却の時期について、民法では前の数か条に一般規定が置かれていますが、この法定の時期が各地方の慣習で定まる時期と異なる場合があります。この時期を公益に関するものとするならば、法律の力で反対の慣習を打破しなければなりませんが、既に前の数か条のところで説明したように、この時期は当事者双方の利害を考慮して規定したにすぎないものなので、当事者がその地方の慣習に従うことを妨げたり、強いて民法の規定に従わせたりする必要はなく、そうさせる理由もありません。かえってその地方の慣習に従わせることが当事者双方の利益になることもあるでしょう。これが、本条が地方の慣習がある場合には前の数か条の規定を適用しないと規定した理由です。

*1:解約申入れ及び返却の時期に関する前数条の規定は、その時期について地方の慣習があるときは、これを適用しない。