【現行民法典対応規定】
なし
※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。
4 国・府県・市町村は法人です。学校・病院等の公設所もまた法人としての資格を有するものがあります。これらすべての法人はその財産を有し、これを処分するには普通法であるこの民法の規定に従うことは常人の場合と同じです。しかし、その財産を賃貸したり、譲渡したりするには、各国とも特別の規則を設け、これに従うべきこととしています。その事情にやむをえないところがあるからです。
ここで賃貸について述べておくと、例えば府県がその所有地を賃貸するに当たっては、府県知事はその府県を代表して自由に誰にでもこれを賃貸することができるのでしょうか。また、その賃貸について自由に定めることができるのでしょうか。その期限もまた自由に定めることができるのでしょうか。これらがことごとく府県知事の自由だとすれば、いうまでもなくさまざまな弊害が生ずることは当然でしょう。そのため、特別の規則によりその制限法式等を定め、府県会や参事会の議決を要することとし、賃借人を定めるにも入札等の方法によることとするなど、適切な規定を置くことが必要です。これが本条で公法人に属する財産の賃貸借は行政法の規定に従うべきものとした理由です。