【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第20条【所有に属する物・属しない物】

1 物ハ所有ニ属スルモノ有リ所有ニ属セサルモノ有リ*1

 

2 所有ニ属スル物トハ公私ノ資産ノ部分ヲ為スモノヲ謂フ*2

 

3 所有ニ属セサル物トハ無主又ハ公共ノモノヲ謂フ*3

 

【現行民法典対応規定】

なし

 

今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

112 所有に属する物には権利が存します。所有に属しない物には権利は存しません。これがこの区別の要点です。

 物は一度所有に帰すると、必ず財産となります(この財産は物を指します)。そのため、本条では「資産の一部を構成する」としています。そして、資産には公私の区別があります。この区別は、次条に詳しく規定されています。

 所有に属しない物には2種類あります。「無主物」と「公共物」です。無主物は第24条に、公共物は第25条に詳しく規定されています。

 以下の各条には公の資産が掲げられており、私の資産については触れられていません。民法の財産に関するすべてが私の資産についての規定なので、これについて触れる必要がないからです。

*1:物には、所有に属するものと所有に属しないものとがあるものとする。

*2:所有に属する物とは、公私の資産の一部を構成するものをいう。

*3:所有に属しない物とは、無主又は公共のものをいう。