【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第53条【天然果実②】

獣畜ノ子ハ其産出ノ時ヨリ用益者ニ属ス乳汁肥料及ヒ剪毛季節ニ剪取シタル羊毛モ亦同シ*1

 

【現行民法典対応規定】

89条1項 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。

 

今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

251 牛羊の子、乳汁、肥料、絨毛、雛卵の類は、すべて天然の果実です。この種の果実がまだ獣畜から分離しない場合には、その獣畜と一体となってその所有者に属することはもちろんで、用益者に属しないことは当然です。

 獣畜の子は自然に産するものです。乳汁・肥料は多くはいつでも任意に収取することができるものなので、獣畜と分離するという一事でその所属を分別します。本条に「獣畜の子」とあるのは、この獣を用益物とした場合に限ります。

 

252 略(論説)

*1:獣畜の子は、その産出の時より用益者に帰属する。乳汁、肥料及び剪毛季節に剪取した羊毛についても、同様とする。