【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第8条【性質による不動産】

性質ニ因ル不動産ハ左ノ如シ

第一 耕地、宅地其他土地ノ部分

第二 池沼、溜井、溝渠、堀割、泉源

第三 土手、桟橋其他此類ノ工作物

第四 土地ニ定著シタル浴場、水車、風車又ハ水力、蒸気ノ機械

第五 樹林、竹木其他ノ植物 但第十二条ニ記載シタルモノハ此限ニ在ラス

第六 果実及ヒ収穫物ノ未タ土地ヨリ離レサルモノ 但第十二条ニ記載シタルモノハ此限ニ在ラス

第七 鉱物、坑石、泥炭及ヒ肥料土ノ未タ土地ヨリ離レサルモノ

第八 建物及ヒ其外部ノ戸扉但第十二条ニ記載シタルモノハ此限ニ在ラス

第九 墻、籬、柵

第十 水ノ出入又ハ瓦斯、温気ノ引入ノ為メ土地又ハ建物ニ付著シタル筒管

第十一 土地又ハ建物ニ付著シタル電気機器

此他総テ性質ニ因リテ移動ス可キモノト雖モ建物ニ必要ナル付属物*1

 

【現行民法典対応規定】
なし

 

今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

44 そもそも動・不動の区別は、土地を不動のものとしたことに起因します。極論すれば、土地もまた動くものではありますが、民法はこれを不動と定めました。そのため、物の性質によって不動産と称すべきものは土地だけです。そのほかの物は、すべて人の力で動かすことができるので、動産というほかありません。しかし、民法はこのような極端な考え方を採用しませんでした。土地に付着するある種の物で実際にこれを動かすことができるものも「性質による不動産」と規定しました。本条ではそのさまざまな例が示されています。

 本条に掲げる例には、土地そのものほか竹木・石・土・鉱物・建築工作物など種々の物があります。一片の石・一塊の土・一本の木も動産となることもあれば、不動産ともなることがあります。上に掲げた有体・無体の区別では、有体物はどこまでも有体で、ある時には無体となるような変化はありません。そのため、その分界を理解することは難しくありませんが、動・不動の区別については、よるべき原則がなければ、どのようにして区別をすればよいかがわかりません。本条に掲げたものはただ列挙したにすぎないものなのか、それともある考え方に基づいて順序をつけ、列挙したものなのでしょうか。

 「性質による不動産」は数種類あります。①純粋にその性質によるもの、②①の不動産から自然に産出するもの、③①の不動産に添付し一体となるものです。そのため、「性質による不動産」は3種類あることになります。しかし、②・③は、①の性質を借りて不動産となっているものです。

 

45 ① 純粋にその性質により不動産であるもの この種の不動産は土地そのものだけです。土地とは土砂を指すのではありません。大地と一体となる部分を指す名称で、空間の一定のところにあるものをいいます。土砂はそうではありません。これを採掘するとよそに動かすことができるので、これは動産です。また、土地は、形状にかかわらず、大地と一体となるものはすべて①の不動産です。それが一個人に属するものだろうと、公私の無形人に属するものだろうと、そのことによって性質が変わることはありません。

 そのため、山岳・丘陵・平野・耕地・宅地・畦畔・土手・河海・湖地・溝渠は、すべて純粋にその性質により不動産であるものです。高低・凹凸があっても大地の一部分を構成する点は同じです。本条第1号・第2号には、このような不動産の例が示されています。

 

46 ② 産出による不動産 天地生々の気の作用により地上・地下に生じた物を「産出による不動産」といいます。土地からはさまざまなものが産出されます。花き・草木・果実・雑穀・蔬菜の類、金銀・珠玉・石炭・塊塩・肥料土の類は、これを「土地の産出物」といいます。

 これらの物は、まだ伐採・採取・採掘していない場合には、すべて土地と合体して土地の一部を構成します。土地は不動産なので、これらの物もまた不動産です。本条第5号・第6号・第7号は、産出による不動産の例を示しています。ただし、第5号・第6号には、添付の性質を帯びるものもあります。

 

47 ③ 添付による不動産 そもそも1つの物として独立して用いられるものがあります。また、2つ以上の物が一体となって用いられるものもあります。後者の場合には「AがBに添付する」といいます。AとBの所有者が異なる場合には、その所有権を定めるに当たって重大な問題が生じます。これについては、後の財産取得編の添付の章に規定があります。ここでは、ただ添付によって動・不動の性質を定めることについて説明します。

 1つの物が他の1つの物とくっついても、2つの物がともに存立し、その従来の性質を残している場合には、動・不動の議論には関係がありません。2つの物が一体となってそれぞれその従来の形状・名称を変じ、新たに1つの物を構成する場合には、動・不動の議論に関係があります。例えば家屋がそうです。これは金石土木の塊片をいろいろと織り交ぜて土地に添付したものです。これを「金石土木」とは言いません。また、これを添付した土地もまた単に「土地」とは言いません。その全体を総称して「家屋」といいます。金石土木それぞれの物は法律上滅失し、さらに家屋という1つの物品が作り出されたのです。その敷地を除外すれば、ただ金石土木の集合だけが残存することになりますが、これを「家屋」とは言いません。また、その金石土木を除外すれば、ただ地面だけが残りますが、これを「家屋」とは言いません。家屋は、土地と金石土木の合体により生じた1つの物だからです。その合体の一方が土地で、純粋な不動産です。そのため、物はすべて土地の性質により、金石土木は従来の移動する性質を滅失して不動の性質を有するに至るのです。

 このほか、垣・柵・管・樋・堤塘・水刎・波止場・水車・風車などはすべて土地に添付して合体したもので、上に述べたのと同じ理由から、「性質による不動産」となります。

 そのため、形状は家屋でも、自在にあちこちに動かすることができるものは民法上の家屋ではなく動産です。ただ、日本の木造の家屋は機械でよそに移すことが簡単です。そのため、不動産ではないかのようにも思われますが、これは一般的なことではありません。そもそも家屋は土地に定着してはじめて完全となるものです。そのため、たまたま機械で動かすことができるからといって、これを動産とすることはできません。

 

48 「性質による不動産」は、上の通り3つに分かれます。これを本条に掲げてある種々の例と対照すると、順序は同じではありません。この例の順序を変えて説明すると、学ぶ者にとっては不便なこともあります。そのため、ここでは本条の各号の順序に従い、順にこれを詳しく説明します。

 

 第1号 本号では、純粋にその性質により不動産であるものが示されています。単に土地とすればよいところ、耕地云々と特に土地の名称を掲げているので、本号に掲げられていない原野・山林等は不動産ではないとも見られかねません。そのため、「その他土地の部分」との語句を加えています。

 

 第2号 本号にいう池沼云々とは、要するに第1号の中の物です。ただその形状を異にしているだけです。第1号と第2号とでは、形状に関して自然と人為との区別があります。一方で耕地・宅地といい、他方で溜井・堀割というものはすべて人為による形状です。しかし、不動産という性質に関係はありません。また、池沼等は、その中にある水を合わせて不動産とします。水は土地に付属して一体となるもので、土の中にある石・砂を合わせて土地とするのと同じだからです。また、水は流動物で、河川は夜も流れて止まることはありません。そのため、これは動くものというべきですが、そもそも水が不動産であるということは土地に添付してそれと一体となることによるものです。その流通は、血液が血管を流れているようなものです。河川を離れて流れることはなく、大地と一体となるものです。

 溜井とは、用水のために、天水や泉水を溜め、池のようにして貯めるものをいいます。

 

 第3号 土手は土や土石で築造し、水を防ぐ、垣に代わる工作物です。桟橋は石や木で築造するもので、その多くは港湾にあり、船舶の荷物の積卸し、乗客の乗降に用いる工作物です。「その他この類の工作物」とは乱杭堰などを指します。これらはすべて添付による不動産です。第8号の説明を参照してください。

 

 第4号 浴場には種々のものがあります。例えば、据風呂は自在に運搬することができます。そのため、不動産ではありません。温泉場の浴壺その他土地に定着して移動できないものはすべて不動産です。

 水車は水力で運転し、風車は風力で運転する器械です。水車は搗米や穀物の磨砕その他機織、木挽など種々の製作に用いられるものです。風車はまだ日本には見られません。西洋では多くは磨砕に用いられています(原案の説明では「日本では穀物を磨砕する需要は稀なので風車はない。麦を多く耕作することとなれば、多くの風車を見ることになるだろう。」とされています。日本には水流が多く、土地に高低があるので、水勢が急です。そして、風車は風のないときは用をなさず、水車に比べれば大いに不便です。西洋には日本のような急流は稀なので、風車を用いることが多くなっています。これが日本に水車が多く、西洋に風車が多い理由です。)。

 この種の車は、種々の器械を合わせて完全なものとなります。器械はすべて簡単に運搬することができる物なので、特にこれを法文に明言しなければ、不動産とはいいにくいものです。このほか蒸気機器についてもまた同じことがいえます。

 本号では、「土地に定着する」という語句が重要です。例えば、浴場・器械は、これを船に備え付けることがあります。これらは船の性質により、依然として動産です。また、たとえ地上にあってもこれが定着していなければ、不動産とはなりません。例えば、一定の場所に据え付けた印刷器械は不動産です。あちこちに動かすことができるものか、器械商の販売品であれば、それらは動産です。

 本号には、土地に定着云々とありますが、この種の機器は建物に定着すればそれは不動産となります。要するに、この種の物を不動産とするには、必要な条件があります。「土地又は建物に定着する」というのがそれです。

 

 第5号・第6号 樹木、果実の類でまだ土地から分離していないものは不動産です。枝根により土地に付着する竹木・蔬菜・牧草・花き・米麦・豆穀・桃・栗・柿・梨の類はすべて土地に頼って成長成熟し、まだ土地から分離しない間は土地と合体してその一部を構成します。これは、禽獣の羽毛・爪・牙が禽獣と一体をなしているのと同じです。そのため、これを「性質による不動産」としました。また、穀物・種子も、既にこれを蒔いた場合には、「性質による不動産」となります。

 

 第7号 鉱物とは、土の中にある金・銀・銅・鉄その他の金属、地上にある砂金・砂鉄の類を総称するものです。坑石とは、土中にある大理石・蝋石・石炭等をいいます。泥炭は燃質物で枯草が土中にあって変化して泥のようになったもので、これを乾かして固め、薪炭に代用します。肥料土とは灰質の土で田畑の肥料に用いるものです。すべて自然の産出物なので、不動産です。

 金・銀・銅・鉄など土の中から産出されるものが不動産であることは上の説明によって明らかです。これに対し、人の行為により、あるいは偶然に土中に埋もれた金銀つまり埋蔵物もまたこれを不動産とすべきでしょうか。答えは否です。これらは依然としてその動産としての性質を失いません。

 一般に、土の中にある動産は、その土の中から産出されるか、土地と合体して一体となるのでなければ、不動産とはなりません。埋蔵物は土の中から産出されるものではありません。また土地と合体して一体となったものでもありません。仮に埋めただけで、それにより不動産とすることはできません。その所有権に関しては特別の規定があります(財産取得編第1章・第2章参照)。

 

 第8号 建物とは、住家・倉庫・物置・厩などの建築物を総称するものです。その建築材は木・石・煉瓦と異なりますが、建物が不動産であることとは関係がありません。

 建物の外部の戸扉は、容易に取り外すことができるものなので、動産です。しかし、これを取り除けば建物は不完全なものとなります。そのため、建物を不動産としています。

 建物が土地に合体しても、仮にこれを築造し後に取り払う予定である場合には、これは不動産ではありません。第12条でこれを詳しく説明します。

 動産は土地に合体しなければ不動産とはならないので、取り壊した建物の材料はもとより動産です。また、建築するために集められた材料もまた動産です。半分が建築された場合には、既に建築されて土地に合体した部分だけが不動産で、その他の部分はすべて動産です。ただし、遺贈の場合に奇妙な結果となることがあります。例えば、遺贈者が動産だけを他人に遺贈し、その後家屋の建築中に死亡した場合には、受遺者はまだ建築されていない材料を取得し、相続人は既に建築した部分だけを取得することになります。しかし、このような場合については財産の区別だけによって一概に論ずることはできません。主として遺贈者の意思を察することが必要です。

 

 第9号 垣・柵などはすべて建物です。そのため、再びこれを説明する必要はありません。

 籬は生垣で、第5号の樹木と同一の理由から不動産となります。

 

 第10号 用水・下水・雨水の流通のため、ガスや温気の引入れのために設けた土管・鉄管・鉛管・木樋などでその土地に付着したものは土地と合体し、建物に付着したものは建物と合体するので、不動産となります。そのほか街道の灯台もまたこの類です。

 

 第11号 電気機器とは、電信柱や銅鉄の線など種々の器具をいいます。土地と合体するものもあれば、建物と合体するものもあります。そのため、不動産となります。電話機器もまたこの類です。

 以上の第10号・第11号に掲げた物は、その土地や建物に付着しなければ不動産とはなりません。「付着」とは「土地又は建物と一体となるように付着する」という意味です。土地や建物と一体をならない場合には動産となります。これを以下で説明します。

 本条の数号で種々の例を示しましたが、これは決して限定したものではないことは、既に上に述べた通りです。そのため、末項を加える必要はありません。このように必要のない字句や条項を掲げていることも、民法の中では少なくありません。

「移動することができるものであっても建物に必要なもの」とは、避雷針・井戸側・雨水樋・火事見・物乾しの類です。なお、学術の進歩により、このほかにも種々の不動産が生ずることもあるでしょう。

 

49 「性質による不動産」が動産となることもあります。不動産から動産となる場合には、権利者が交代していることが少なくありません。そのため、実際には重大な関係があります。

 このことについては、第12条に若干の規定がありますので、その部分を参照してください。

 そもそも、不動産は「移動しない」という意味で、形体上でも知能上でも移動しないものだけを不動産といいます。そのため、その性質が変わって移動可能なものとなった場合には、これは動産となります。これが原則です。

 土地は不動産で、決して動産とはなりません。

 土地の中にある土砂もまたもとより不動産ですが、土砂を採掘した場合には動産となります。ただ、仮に採掘したものはそうではありません。そのため、前庭の土砂を後庭に移す場合には、その運搬時間に関係なく、土砂は不動産の性質を失いません。石垣の修繕のため仮に取り離した石材もまた同じです。

 樹木・果実の類もまた同一の原則によります。

 樹木は、これを伐倒・根抜することにより動産となりますが、移植するために根抜した樹木は、これをまだ植え付けていない間でも従前の性質を失いません。

 果実は、所有者の行為によるものだろうと、盗賊の行為によるものだろうと時の変化によるものだろうと関係なく、土地から分離することにより動産となります。穀物・蔬菜・果実は永久に土地に付け置かれるものでないことは当然で、それが成熟すれば必ずこれを収取することになることは明らかですが、土地から分離されない間は不動産です。既に刈り取った米麦は、たとえまだこれを自分の家に運ばず、なお田畑にあるものでも動産です。

 草木・花きの類は、これを移して鉢植えとした場合には、動産となります。たとえその鉢を地上に据え置いたとしても同様です。ただし、鉢植えの草木は場合によっては「用法による不動産」となることがあります(第12条参照)。

 果実その他輪伐林の樹木のように収穫の時季がある不動産は、「他の性質による不動産」で、永久に土地に付着するものと同じでない場合があります。フランスのように、果実でまだ収穫していないものでも既に成熟期に至っているものは動産とする例もあります。

 日本でも果実の類は他の不動産と同様ではありません。まだ土地から分離されていないのに、これを動産として取り扱うことがあります。

 

50 民事訴訟法第568条は「果実は土地から分離される前であってもこれを差し押さえることができる。ただし、その差押えは、通常の成熟時期の前1か月以内でなければこれをすることができない。」としています。この条文は「有体動産に対する強制執行」と題する款の中に置かれています。そのため、訴訟法はまだ土地から分離されていない果実を動産として取り扱っています。これは民法の規定とは抵触しないのでしょうか。

 フランス民法でも、まだ土地から分離されていない果実は「性質による不動産」とし、訴訟法に1章を設け、その差押えについてはこれを動産とします。その説明によれば、果実は土地から分離しない間はもとより不動産です。ただし、これを差し押さえるために特例を設けています。その特例を設ける理由は2つあります。1つは慣習上の理由、もう1つは便宜上の理由です。フランスでは、果実の差押えには特に名称があり、これを「セージー、ブランドン」といいます。「セージー」とは差押えという意味です。「ブランドン」とは布片や稿を1束とし、これを竹竿の類の一端に着けたものの名です。かつてフランスの慣習に、果実を差し押さえようとする場合には、この「ブランドン」を果実のある田畑に立てて差し押さえたことを表示しました。そのため、果実の差押えに限り、「セージー、ブランドン」の名称があります(日本にもこの慣習があります。これを「封止」といいます。)。昔は果実を差し押さえるには封止というやり方で動産差押えの手続を行いました。これが慣習上の理由です。また、不動産の差押え・その公売の手続は、動産の差押え・その公売の手続に比べると非常に丁重なので、費用がかかります。そのため、債務者・債権者のためには非常に不便です。かつ、果実を差し押さえる場合には、必ずこれを土地から分離し動産としてこれを目的とするので、不動産差押えの手続を用いる必要はありません。これが便宜上の理由です。この便宜上の理由は、直ちに日本でも果実の差押えのため特例を設ける理由とすることができます。日本でも、不動産の差押え・公売は、動産の差押え・公売と同じではないからです。不動産の場合にはいっそう丁重になっています。私は、果実の差押えに関しては、訴訟法は民法の通則によらない特例を設けたにすぎないと考えています。

 

51 米麦・豆穀のように通常は果実ではない産出物で定期に収穫するもの、例えば輪伐林の樹木のようなものについてもまた例外とすべきでしょうか。「この例外を設ける理由は、主として債務者及び債権者の便利のためである。そのため、定期に土地から産出するものにはすべてこの法律を適用すべきである。」と古くからいわれていますが、これに従うべきでしょう。

 

52  鉱物もまた同一の原則によるので、採掘すると動産となります。鉱物の売買については、第12条を参照してください。

 建物もまた上の同一の原則に従います。

 建物の材料は完全にこれを取り壊した場合にはじめて動産となります。その取壊しは、所有者の意思によると時の変化によると関係なく、たとえ所有者が旧材料で旧敷地に同様の建物を築造するために取り壊したものでも、その材料は動産となります。一度取り壊したら建物と称すべきものは完全に消滅するからです。その再築材料は将来建物つまり不動産となりうるだけです。まだ再築しない場合にこれを不動産とすると、新たに築造しようとして取り集めた材料もまた不動産ということになってしまいます。

 修繕のため石造の垣壁の中から一片の石を取り、これを元に戻す場合には、まだ元に戻していない間も、旧来の性質を失いません(第9条の論説[略]参照)。

 このほかすべて「性質による不動産」は、土地や建物から分離すれば、動産となります。

*1:性質による不動産とは、次に掲げるものをいう。

 一 耕地、宅地その他の土地

 二 池沼、溜井、溝渠、堀割、泉源

 三 土手、桟橋その他これに類する工作物

 四 土地に定着している浴場、水車、風車又は水力、蒸気の機械

 五 樹林、竹木その他の植物 ただし、第12条に定めるものは、この限りでない。

 六 果実及び収穫物のうち未だ土地より分離されていないもの ただし、第12条に定めるものは、この限りでない。

 七 鉱物、坑石、泥炭及び肥料土のうち未だ土地より分離されていないもの

 八 建物及びその外部の戸扉 ただし、第12条に定めるものは、この限りでない。

 九 垣、籬、柵

 十 水の出入又は瓦斯、温気の引入れのため土地又は建物に付着した筒管

 十一 土地又は建物に付着した電気機器

 この他すべて性質により移動することができるものであっても建物に必要な付属物