1 物ハ他ニ付属セスシテ完全ナル効用ヲ為スト否トニ従ヒテ主タル有リ従タル有リ*1
2 用方ニ因ル不動産ハ性質ニ因ル不動産ノ従ナリ地役ハ要役地ノ従ナリ債権ノ担保ハ債権ノ従ナリ*2
【現行民法典対応規定】
なし
今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)
※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。
89 主な物に付属する物がある場合には、その主な物を「主たる物」といい、付属する物を「従たる物」といいます。第2条にその例が示されています(第2条参照)。
主従の区別は、すべての物についてあるだけでなく、契約にもまた主たるもの・従たるものがあります(第302条参照)。
90 主従の区別は、物の所有権を定めるのに必要な場合があります。例えば、所有者が異なる2つの物を合体し、その2つの物を分離すると経済上大きな損害がある場合(土地の所有者が他人の有する樹木で建物をその土地に築造したような場合。財産取得編第8条。)や、その2つの物を分離することができない場合(2種類の酒を混和したような場合。財産取得編第21条。)には、その2つの物の中の主従を区別し、全部の所有権を主たる物の所有者に帰属させ、従たる物の所有者には賠償させるのを通則とします。
91 略(論説)