1 用益者ハ用益不動産ニ属スル一切ノ地役権ヲ行フ*1
2 若シ不使用ニ因リテ之ヲ消滅セシメタルトキハ虚有者ニ対シテ其責ニ任ス*2
【現行民法典対応規定】
なし
今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)
※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。
288 地役がどのようなものであるかは、これを第2条でおおよそ説明しました。なお地役の章で詳しく説明します。そのため、ここでは省略します。
そもそも地役は要役地の価値を増すものです。地役権はその要役地の従属物であることは第2条で規定されています。そのため、用益不動産に地役が従属している場合には、用益者は当然これを行使することができます。これは「従は当然主に従う」という原則により、本条の規定を待つまでもなく、おのずから明瞭なものです。
地役権は30年間これを使用しない場合には消滅します。承役地の義務が30年の時効によって消滅するわけです。前にもいろいろと述べたように、用益者は用益物を保存する義務を負うので、用益物に従属する地役権をもまた保存しなければなりません。不使用によってこれを消滅させた場合にはその責任を負うのもまた本条の規定を待つまでもなく明瞭です。
用益不動産が承役地となった場合には、まさに本条と反対の場合であり、用益者は地役権の行使に服従しなければなりません。これは用益者の義務に属します。本条はその権利を規定することで、義務のことを言わないだけです(第67条及び第96条参照)。