用益者ハ用益樹木ヲ支持スルニ必要ナル棚架支柱又ハ杭杙ニ用ユル竹木ヲ何時ニテモ其用益地ノ樹林及ヒ竹林ヨリ採取スルコトヲ得*1
【現行民法典対応規定】
なし
今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)
※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。
278 用益者の権利は、用益物そのものを収取できるものではありません。用益物の修繕や改良のためでもこれを採取することができないのが用益権の原則です。そのため、本条を設けなければ用益者はこの種の些細な物をも採取することができないという疑いが生じます。
そもそも用益者が収益をすることについては所有者と同視され、用益物の保存については善良な管理人のように注意する責任を負います。善良な管理人は、本条にいうように用益樹木を支持するために用いる棚・架・支柱・杭杙の類は必ずその用益樹林の中にある竹木を用い、他から買い求めるような不経済の所為がないようにしました。そのため、用益者に許すために本条の規定を置いたわけです。
*1:用益者は、用益樹木を支持するのに必要な棚架、支柱又は杭杙に使用する竹木を、いつでもその用益地の樹林及び竹林より採取することができる。