【現行民法典対応規定】
なし
今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)
※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。
285 以上の数条で、果実産出物についての用益者の権利が規定されました。埋蔵物は果実ではありませんし、産出物でもありません。そのため、用益者に帰属しないことはもちろんです。しかし、疑念を生ずることをおそれ、フランス民法にならって本条を掲げることとしました。
本条には、用益者の用益者としての資格について権利の有無を規定しています。用益者が普通の埋蔵物発見者となった場合には、埋蔵物に関する規則に従い、発見者の資格でその一部を取得することがあります。
埋蔵物に関する現行規則は、明治9年4月第46号布告第6条にあります。また、民法は財産取得編第5条・第23条にこれを規定しています。
民法の規定によれば、用益者がたまたま用益不動産で埋蔵物を発見した場合には、当然にその半分を取得します。3年の間に真の所有者が現れれば、これにその半分を返還します。3年の間に真の所有者が現れなければ、その半分をその不動産の所有者に与えます。つまり、不動産が用益物であれば、半分を虚有者に与えるわけです。そのため、本条は「第三者」が発見した埋蔵物について用益者は権利を有しないことを示し、用益者が発見したときは権利を有することを暗に示しています。
埋蔵物に関する現行法の規定と民法の規定には大いに異なるところがあり、これについては財産取得編で論じます。