【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第136条【賃借人による訴権の行使】

賃借人ハ其権利ヲ保存スル為メ賃貸人及ヒ第三者ニ対シテ第六十七条ニ記載シタル訴権ヲ行フコトヲ得*1

 

【現行民法典対応規定】

なし

 

亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之二』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

43 賃借人の権利は用益者の権利と同じというのが原則です(第126条)。そのため、本条の明文がなくとも、賃借人は第67条によりその賃借権に関する占有・本権の物上訴権を行使することができ、またその権利の範囲内で賃借不動産の働方・受方の地役について、要請・拒却の訴権を行使することができます。ただそのことは第三者に関係し、しかも重要な訴権なので、特にこの明文を掲げてその権利を確認したにすぎません。

 上の訴権については、第67条以下で既に詳細な解説を行いましたので、ここでは繰り返しません。

*1:賃借人は、その権利を保存するために、賃貸人及び第三者に対し、第67条に定める訴権を行使することができる。