【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第72条【動産目録等の作成②】

当事者カ双方出会シ共ニ能力アルトキ又ハ有効ニ代理セラレタルトキハ目録及ヒ形状書ハ私署ヲ以テ之ヲ作ルコトヲ得反対ノ場合ニ於テハ公吏之ヲ作ル*1

 

【現行民法典対応規定】
なし

 

今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

307 そもそも民法上能力を有する当事者が立会いの上作成した証書をすべて有効とするのは、民法の原則です(例外もあります)。本条はこの原則を適用するにすぎません。

 「有効に代理~」とは、当事者自身が立ち会わずとも、他人がこれを代理し、その代理が有効である場合には、また有効に証書を作成することができます。代理された場合とは、普通の代理委任をしたときはもちろん、その他未成年者や禁治産者が後見人によって代理されたときをもあわせて指しています。

 これらの場合には、目録・形状書は私署で作成しても有効です。

 虚有者を召喚しても、自ら立ち会わず、また代理人を立ち会わせることもせず、または代理人が立ち会ってもその代理が有効でない場合には、公吏に委託して目録・形状書を作成することが必要です。このような場合には、公吏が関係して事実が的確であることを証明するのでなければ、証書の効力を生じさせることはできないからです。

 本条にいう公吏とは、公証人や執達吏を指しています。

*1:当事者が双方出会し、双方ともに能力を有するとき、又は有効に代理されているときは、目録及び形状書は、私署をもってこれを作成することができる。これと異なる場合においては、公吏がこれを作成する。