贈与物ニ付キ贈与者カ自己ノ利益ノ為メ留存シタル用益権ニ付テハ保証人ヲ立ツル義務ナシ*1
【現行民法典対応規定】
なし
今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)
※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。
329 本条は、第45条第4項に規定した場合の用益者について述べるものです。
本条は、特に贈与と記載しているので、贈与の場合に限ります。
そもそも贈与をする者は、恩を施す者で、その恩人に対し猜疑を挟み、担保を提供させるのは非常に人情に背くので、この規定が置かれています。
本条にも保証人とありますが、実はすべて担保を供出する必要はないという意味です。
原案には、本条に1項を加え、「贈与者の身代が不如意の状況となっ場合には、(用益物の中の)現金額及び第73条により売買と同じ評価額に対して保証人を立てなければならない」とありましたが、これは削除され、贈与者にはすべて担保供出義務がないことになりました。
*1:贈与物につき贈与者が自己の利益のために留存した用益権については、保証人を立てる義務はない。