【日本民法】条文総まくり

旧民法から現行民法まで。1条ずつ追いかけます。

財産編第99条【用益権の消滅原因】

第4款 用益権の消滅

 

用益権ハ第四十二条ニ記載シタル所有権消滅ノ原因ト同一ノ原因ニ由リテ消滅スル外尚ホ左ノ原因ニ由リテ消滅ス

第一 用益者ノ死亡

第二 用益権ヲ設定シタル期間ノ経過

第三 用益者ノ明示シタル用益権ノ放棄

第四 三十个年間継続シタル不使用

第五 用益権ノ廃罷*1

 

【現行民法典対応規定】

なし

 

今村和郎=亀山貞義『民法正義 財産編第一部巻之一』(明治23年)

※以下は同書を現代語訳したものです。意訳した部分もあります。気になる部分については原文をご確認ください。

 

387 法律の定めにより用益権を設定する場合は別として、合意により用益権を設定するには、所有権の取得・移転に関する規則(第45条)に従います。つまり、用益権の発生原因は、所有権の発生原因と同じです。発生原因が同じであれば、その消滅原因もまた同じになります。第42条に定める原因によって用益権が消滅すると定めた理由はこの点にあります。

 しかし、所有権は完全な権利で、用益権はその支分権にすぎません。その本質は異なるものなので、その消滅原因にも違う部分があります。本条は特に用益権に固有の消滅原因を定めています。これについては、以下のそれぞれのところで説明します。

*1:用益権は、第42条に定める所有権消滅の原因と同一の原因によって消滅するほか、次に掲げる原因によって消滅する。

一 用益者の死亡

二 用益権を設定した期間の経過

三 用益者が明示した用益権の放棄

四 30年間継続した不使用

五 用益権の廃罷